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よくある質問Q9:あるお母様からのお問い合わせへの返信メール

A:
お問い合わせありがとうございます。

「夏期講習の6日間で簡単な読解の方法を学ぶことができますか?」という点を中心にお答えいたします。

6日間でも「読解の方法」を学ぶことはできます。
しかし、6日間では「読解の方法」を体得することは通常はできないと思います。

「読解の方法」というものは、マニュアル化すれば、非常に単純なものになると思いますが、しかし、それを頭に入れたところで、文章の読解には役に立たないのが普通です。なぜなら、読解力をつけるためには、具体的な文章の論理的な分析を積み重ねることで、そこから経験的・帰納的に「読解の方法」を自分の中に作っていくことが必要だからです。抽象的に整理された読解マニュアルを知り、そこから演繹的に読解ができると思うのは大きな間違いです。

これは、特に不思議なことではなく、ピアノを弾く技術を身につける場合に、ピアノの弾き方マニュアルを覚えたところで、ピアノは弾けないのと同じことです。具体的な曲の練習の積み重ねを通して、弾き方を身につけていくしかないのと同じことです。

ただ、この読解技術の習得過程を合理化することはできます。昔の徒弟制度のように「何も教えないで学べ」というような不合理な方法ではなく、生徒が、「読解とは文章をこのように読むことであり、こう考えれば意味やテーマが納得できるのだ」と実感できるようにプリントや講義内容を工夫し、無理なく導くことで、読解の方法を比較的短期間で体得させていくことはできるのです。

しかし、それにしても、6日というのは時間的に短すぎます。6日ではワインは作れません。私はボジョレヌーボーのどこが良いのかわかりません。あんな未熟ものはワインではありません。

しかし、入試を最終目標にすれば、目標校合格レベルまで改善できるかもしれませんし、場合によっては最も得意科目にできるかもしれません。この点は極めて重要です。なぜなら、今国語が不得意なままで中学入試を突破したとしても、その後国語が得意科目になる機会はおそらく得られないからです。今度は大学入試で右往左往するだけだからです。逆に、中学入試の段階で国語に自信が持てれば、大学入試の国語に対しても立ち向かうことができるはずだからです。

そういう意味では、9月からでもぜひお通いいただきたいと思います。

ただし、メールの文面を拝見すると、お母様の勉強に対する考え方を大胆に変えていただく必要はあるように思います。

お母さま方は、「塾の日程を考えるとなかなか都合がつかなくて…」ということをおっしゃいますが、その塾の日程に意味があれば、国語力はついているはずではないのですか。塾に通うのは義務ではありません。勉強は自分の利益のためにするものであり、塾のためにするものではありません。今通っている塾の意味のない部分は切り捨て、意味のある部分だけ利用するというように発想を転換する必要があります。

お母さま方は、「塾の日程があるし、宿題もあるので、家庭教師ならなんとかなるのでは…」という発想で、現状を変えないで、家庭教師を付加するということをします。しかし、国語のプロ(?)家庭教師など役に立たないのが通常ですし、そもそも、何かを付加すれば現状が変わるという発想が間違っているのです。現状を変えるには、現状自体を自分で変革しなければなりません。デブはデブの現状を自分で変えるべきで、あやしい痩せ薬なんか飲んだところで意味はないのと同じです。

せっかくご質問いただいたのに、勝手なことを申し上げて申し訳ありません。しかし、鈴木国語はこのような「変な」考え方の塾であるということです。私のような過激な考え方は、寄らば大樹の現在の日本では異端に過ぎないでしょうが、私はどんな世の中でも私自身でありたいので、以上のようにお答えすることになった次第です。長々とすみません。

ご参考になれば、幸いです。

鈴木国語研究所・鈴木洋純



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